虫歯治療で大切なこと
治療の繰り返しをしないための努力
虫歯治療といっても患者一人一人のお口の中の環境や状態は様々です。当院ではひとりひとりにあった治療プログラムを提案させていただき、治療を繰り返さない、健康で美しいお口を保たれるようサポートいたします。
「詰め物・かぶせもの」の治療が必要な場合、患者のご希望に沿う素材でご対応可能です。
治療を繰り返すと
いずれ歯はなくなります
治療をくり返さないために
大切なこと
その場しのぎの
治療をしない
痛みが出た時に歯科医院にかけつけ「むし歯をできるだけ早く治したい」というご要望をいただくことがしばしばあります。「仕事が忙しいから」「なかなか時間が取れない」さまざまな事情があることは理解できます。一方で、口の健康は全身の健康に大きく影響します。まずは「長期安定してトラブルが起きにくいお口」を目指して予防に取り組むことが大切です。できるだけ治療のくり返しが発生しにくい治療を選択していただければ医療者として大変嬉しいです。
自分の口の弱点を知る
歯ならび、噛み方や姿勢の癖、細菌の状態、生活習慣や食べもの、食べ方の周期など、さまざまな条件でお口の環境は出来上がります。まずはご自身の口の弱点を知ることが、最も重要です。治療は患者ご自身が主体的に関与し、医療者が手助けすることで成立します。
詰め物や被せ物について
費用だけではない特徴を知る
詰め物や被せ物には自費診療となるものがあります。これは費用だけが問題になるのではありません。また、見た目だけが問題になるわけでもありません。材料特性や製作工程、お口の癖や力のかかり方なども考えて、保険診療か自費診療か、ではなくどれが最適な解かという観点でご提案をします。
治療について理解する
どれだけ優れた人工材も天然歯には勝てません。できるだけ削らなくて済む治療方法を選択し、ご負担を減らすために少しづつ丁寧に治療をすることを大切にしています。歯の根の治療(根管治療)が必要な場合はマイクロスコープを使う診療も選択して頂けます。(精密根管治療は一部を除き保険適用ができません。)
歯並びが
与える影響を知る
お口の中のトラブルには、噛み合わせや歯並びが影響を与えることも実はしばしばあります。矯正治療は審美的な目的以上に、医療として予防のために推奨される場合が多く、成人の方でも積極的に矯正治療をする事例が増えています。無理な矯正治療は必要ないと考えていますが、健康を守る視点から「矯正をやった方が良い」と思う場合には、ご案内をいたしますのでご検討ください。
治療の繰り返しを
しないためのキーワード
補綴物(つめもの・かぶせもの)
- 「つめもの(かぶせもの)が取れる」=「腕が悪い歯医者」という思い込みがあるが、そうとは限らない。歯並びや噛み方などの影響で自覚なく歯には強い力がかかる。人工物が取れないように接着すると、歯が割れることがあり歯は失われる。ちょうど良い加減で調整することが肝心。
CR(コンポジットレジン)
- 浅い虫歯の場合は特に手を入れず経過観察をする場合もあるが、見た目や患者の希望で薄く削ることがある。その場合はレジンによる修復を行うが、保険適用のものと自由診療のものがある。部位や形状によっては取れやすく、変色しやすいという弱点もある。
マイクロスコープ
- マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)の保険適用可否は疾患別で国により定められている。精密根管治療(歯の根の治療)だけではなく、歯周外科や虫歯の治療でも使用する場合がある。可能な限り保険診療でも用いる方針だが、ルール上自費診療として費用が発生する場合は事前に説明する。
歯周病
- 歯周病は歯茎(歯肉)や骨に炎症を起こし進行すると歯を失う。日本人の8割が罹患しているといわれるが自覚症状が少なく、歯を失う主要因となっている。歯周病菌は感染症であり、一時的に除菌ができても数ヶ月で戻ってくるので医院での専門的メンテナンスと観察が欠かせない。
かみ合わせ(歯列矯正)
- 歯列矯正というと見た目の治療に思えるが、歯列不正はかみ合わせと力のかかり方に大きな影響を与えており、口の疾患の要素の一つになっている。日常の咬合力(咬む力)は40〜60kgほどにもなるため、矯正治療により不正な力のかかり方を改善すると歯を守ることができるケースがある。
インプラント
- 失った歯をそのままにしておくと対合する歯が伸びて弱ったり、隣接していた歯が倒れてきて抜けてしまう要因になったりする。骨の状態が良ければインプラントなどが勧められる治療法ではあるが、年齢や生活習慣によっては他の治療の選択肢も。
虫歯治療のQ&A
Q.歯磨きしても虫歯になります。なぜですか?
- 口の中には弱点があります。磨きにくい場所や日頃たべている食事、口の中の細菌の状態、力のかかり方、さまざまな要因で虫歯はできてしまいます。虫歯の予防は日常の習慣と医院での専門的メンテナンスの両方で予防していかなければなかなか難しいものです。メンテナンスで通われる方でも、生活の変化や年齢などにより治療の必要がなかった小さな虫歯が一気に進行していることもあります。これは仕方のないことで、患者自身が悪いわけでもなく、歯科医院が悪いわけでもありません。機械でも車でも故障がゼロということは難しく、人も同じです。できるだけ早いうちに疾患を発見して対処するために、かかりつけの歯科医院のメンテナンスがあるのです。
Q.保険診療だけではなく自由診療についても治療提案するのはなぜですか?
- 保険診療と自由診療についての考え方は別のページでも説明していますが、私たち歯科医療者も虫歯の治療をうけることがあります。その時に私たちは保険診療を選択しないことがほとんどです。保険診療が悪いのではなく、多くの選択肢があるのは自由診療であり、長期安定のために必要な選択肢を選びたいと考えているからです。それが家を建てるほどの費用ならばともかく、数万円の差で大きく異なる場合もあるのです。良い食事に数千円から数万円を使うならば、それを食べるためのご自身の体はもっと大切にしなければならないのではないでしょうか。だからこそ選択肢をしっかりと提示するためにご説明をします。
Q.痛くないですか?
- 一般的な治療の場合には歯科用浸潤麻酔を用いることになります。痛くない麻酔のポイントとしては、「ジェル状の表面麻酔」「痛点を避けられる極細の注射針」「力をかけない電動麻酔器」を用いて痛みを感じにくい部位から針を入れて麻酔を効かせることです。医療であり体の一部を削る治療ですので「完全に痛みがゼロの治療をする」とは言えませんが、「可能な限り痛みがゼロになるように技術を尽くします」ということはお約束できます。
Q.歯科医師によって「歯を抜く」「抜かない」の判断が違うのはなぜですか?
- 確かに医院を複数わたりあるくと、前の医院さんでやっている治療について「誤っている」というような発言をうけることもあるかもしれません。いろいろな技術と知識をもった先生方がいますので、ご自身で説明をうけて納得した上で治療法を選択してください。人の骨格、口の形状、口腔状態、生活習慣や性格はさまざまで、同じ「虫歯」でもアプローチの仕方はその人ごとに最適解が異なります。私たちも、近い状態の疾患でもAさんには抜歯をおすすめして、Bさんには保存をおすすめする場合もあります。それは歯科医療の専門家として患者を観察した上で、どちらが長期安定に適した方法なのかを考えているからです。かかりつけ歯科医院として長いお付き合いがあると、患者の背景もふまえた治療の提案ができるのです。ぜひ、信頼できる先生を探し出し、かかりつけ歯科医院として活用されることをお勧めします。