メンテナンスでは
ココをみています
メンテナンスは必要なのか
できるだけご自身の歯を残す治療は、患者ご自身の協力を頂いてはじめて可能になります。日常の歯磨きや手入れをしているから大丈夫、と思っていても食事や生活習慣、加齢により人の体は変化します。それは仕方のないことでしょう。丁寧に乗る車でも車検や整備をします。お口の中も定期的に丁寧なチェックとケアが必要なのです。
大切なコミュニケーション
私たちはメンテナンスで来院した患者の様子をよく見るようにしています。外面に現れた変化(顔色や表情、体型など)が口の中に与える影響もありますし、生活に現れた変化(妊娠や出産、家族構成の変化、食事内容、お仕事の様子など)も口の中に影響を与えます。こうした情報も含めて、国家資格を持ち訓練を受けた歯科衛生士がお口を見るのです。
変化を追いかける
前回と状態の違いを診ることはとても重要です。日常で感じるちょっとした違和感や気になることは必ず聞かせてください。前回より良くなった部分については、ご自身の日頃のケアが行き届いている証拠です。でも、状態が悪くなっているところがあれば、原因を探して手入れをしなければなりません。
「経過観察」を正しく行う
歯科疾患の中には状態を見極めてから処置するべきケースがあります。浅い虫歯や原因が特定しがたい痛みや腫れもその一つです。その場合は「経過観察」を大切にして、どの処置がもっともその患者に適しているのかを探しつつ治療を考えています。「経過観察」は放っておくことではありません。診て考え、次の方針を立てるために行っています。
将来予測はあたっているか
治療後の状態が維持されているか、予測の範囲内での変化に止まっているかを確認します。もちろん当初の予測と多少の誤差はあるものですが、場合によっては治療のやり直しが必要になることもあります。大きな治療のやり直しにならないように、問題点は早期発見をして一緒に修正しましょう。
多角的判断による人工物の調整
口の中の人工物(つめもの、かぶせもの、インプラント等)は、天然の歯以上に管理が必要です。歯のすり減り方や、力のかかり方、細菌の状態によっては、高さや厚みなどをわずかに調整(研磨)することもあります。ご自身では気づきにくいかみあわせの状態(歯と歯の当たり方)などもふまえて検討します。
専門機器によるクリーニング
口の中にはご自身で管理できる範囲と、専門器具を用いなければきれいにできない範囲があります。例えば歯と歯肉の間のスキマなどはどうしてもご自身では清掃できません。ここに付着する歯石を縁下歯石といいますが、これが少ないことは正しいケアをしていることの確認にもなるのです。日頃の自分を褒めてもらうために歯科医院に来てください。
メンテナンスのQ&A
Q.痛みはありますか?
- 日頃のケアが上手く作用されず炎症を起こしていることがあります。場合によっては、歯石が歯肉の深い場所にまで付着しており出血や痛みがあることがあります。もっとも、この状態の場合は歯周炎や歯周病が進行しているといえますので、厳密には「メンテナンス」というステージではなく、「歯周病治療」のステージです。痛みがひどい場合には麻酔を使って治療することもできますので、安心してください。
Q.家庭でのセルフケアをしっかりしている場合、メンテナンスは不要ですか?
- しっかりとしたケアをご自身ですることは、ご自身の口なのですから大事です。とはいえ人間ですので、毎日しっかりと決まったケアをすることは大変ですよね。しっかりとしたケアをされていらっしゃる方の場合、メンテナンスは褒められるために来る場所、自分の頑張りを確かめるための時間、と考えてください。私たちも一生懸命仕事をして、最善の治療を提供しようと心がけています。頑張って綺麗にしたお口を良い状態で保っていただけていると本当に嬉しいです。一緒に喜ぶ時間にできればと思います。
Q.定期的な通院のメリットはなんですか?
- 国によって推奨される予防歯科は、保険適用ができるかわりにルールもしっかり定められています。定期通院されることで歯を失うリスクは確実に減らすことができます。本当は私たちは治療をしたいのではなく、できるだけ治療をしたくないのです。ボロボロの口の中の治療はすごく時間もお金もかかり、医療者としても負担が大きい労働なのです。定期的にしっかりとメンテナンスに通っていただくことで皆さんの口が守られます。無駄な治療をする必要がないならば痛みもなく生涯医療費も安くなり、患者・医療者・社会すべての面で理想的なことだと思います。だからこそお忙しい中でも時間をしっかりつくって来てくださる患者を私たちは大切にします。
Q.治療だけ受けてメンテナンスは他医院にいきたいのですが…?
- もちろんそうしたご要望も歓迎です。「メンテナンスはどこであれ受けません」ということであれば全くお勧めしませんが、どこの医院さんでもよいので定期通院をされて、健康を維持してくださるのであれば、私たちは嬉しいです。この場合に気を付けていただくこともあります。例えば「経過観察」となった虫歯や、複雑な治療計画を要する難しいお口の方などについては、メンテナンスで観察するべきポイントが治療計画医院にしかわからない場合もあります。特別難しい事情がない限りは、メンテナンスも含めて日頃かかりつけになってくれている先生に最初の治療段階からお世話になるほうがよいかもしれません。大切なのは、しっかりと説明をうけて自分の判断で選択し、納得して治療を受けること。そして治療計画段階で想定したゴールイメージにあわせて、長期的にメンテナンスを受けることです。そうはいっても、いろいろな事情があってこうしたご要望だと思いますので、なんでもご遠慮なくご相談ください。